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「一般的にM&Aは時間がかかればかかるほど、譲渡側の企業価値が下がってしまうと言われています。特に私たちが支援している中小企業は、自ら現場に出て売上をつくっているオーナーが多い。M&Aの膨大な事務作業の負担を減らし、期間をできるだけ短くしながら、相乗効果を生み出すマッチングを実現させたいんです。これは今後、会社を運営していくであろう譲受側にとっても重要なことだと考えています」

こう語るのは、ユナイテッド・フロント・パートナーズで代表を務める山田晃大だ。

地方で事業承継問題にあえぐ中小企業に向けたサービスを──M&Aアドバイザリー事業の立ち上げにあたって、山田が本拠地として選んだのは静岡。「縁もゆかりもない土地で、起業する」という難業を、彼は軽やかに実現させた。

創業から4年。長野、岐阜、宮城と事業エリアを拡大し、成長を続ける同社の原動力に迫りたい。


地方にはM&A仲介会社がほとんどない──ファクトから見出した「契機」


起業したい──そうは思っても「事業アイデアを思いつかない」「仲間が見つからない」などの理由から、なかなか行動に移せない人は少なくないだろう。

山田の場合、前職の大手経営コンサルティング会社で事業立ち上げのヒントを得た。公認会計士、税理士の有資格者である彼は、もともと独立心が旺盛だった。

「前職では、M&A仲介業務、M&Aアドバイザリー業務、株式価値評価業務、デューデリジェンス、組織再編のコンサルティング、新株予約権の設計や導入支援など非常に幅広い業務を経験しました。その中で顧客から、企業の知名度のみならず担当する“人”をしっかりと見てもらえると感じたのが、中小企業を対象としたM&A仲介の仕事でしたね。社会的ニーズも高まる中、この事業ならば自らの可能性を広げられると感じました」(山田)

彼を起業に駆り立てた理由は、もう一つあった。現在、共同創業者としてタッグを組む、仙田正貴の存在だ。前職で上司、部下の関係からスタートした彼らは、すぐに意気投合し、いつしかビジネスパートナーとして未来を語り合うようになった。

二人がユナイテッド・フロント・パートナーズを創業したのは、2018年。聞くと山田は大阪、仙田は神奈川の出身だという。一体なぜ、静岡に本社を構えたのだろうか。

「M&Aを必要としている企業は都市部に限らないのに、地方に進出している同業者はほぼゼロ。こうした現状から、地方都市に拠点を置き、地域密着型のサービスを展開することが大きな差別化につながると確信しました。静岡はそのスタート地点として、最もふさわしい場所だったんです。人口やGDPなど経済面でも安定しているし、主要都市へのアクセスも良い」(山田)

見知らぬ土地で新規事業を立ち上げるのは、困難だったのではないか......こちら側の勝手な想像をよそに、山田は飄々とした口調で話を続ける。

「そもそもM&Aは、すべてゼロからはじまる仕事ですし、ニーズがあるから提案営業もできる。地縁がないことに対する不安や抵抗感は一切なかったですね。

当時は私も仙田も27歳で独身。身軽だったこともあり、地方進出を即断即決できました。二人ともやるとなったら、すぐに実行するタイプなのです」(山田)

ユナイテッド・フロント・パートナーズの求人・採用情報を掲載しています代表取締役 山田 晃大


数値化できない企業価値をどれだけ理解し、情熱をもって伝えられるか


静岡でスタートを切ったユナイテッド・フロント・パートナーズは、創業からわずか4年で長野、岐阜、宮城と事業エリアを拡大。地域密着型かつ一気通貫のサービスを敷いていること、そして提携によるしがらみを一切持たないことが、同社の特徴だ。

「近い距離にいると、電話やメールではなかなか伝わりにくい煩雑な手続きを、隣に座って細かくサポートできますし、一気通貫で業務を行なうので齟齬や誤解が生じにくい。譲渡、譲受企業の要望を一人の人間が聞き、双方に正しく伝えられるのが一番の利点だと感じています。

他にも、地方金融機関と提携していないことも大切だと感じています。金融機関と提携すると、メインバンクが変わらないようになど、金融機関に配慮する形でプロジェクトを進めざるを得ない状況が発生するので、M&Aにおけるクライアントファーストを徹底できない場合が多いと感じています。

加えて、当社はM&A仲介専業で業務を行なっていますし、現場への権限移譲も積極的に行なっているため、社内の意思決定も早いんです」(山田)

こうした特徴が活かされた事例がある。在京の大手M&A会社数社が手を引いたという難易度の高い案件を、ユナイテッド・フロント・パートナーズが見事成約させたというのだ。実質的な会社間の距離だけでなく、細かいコミュニケーションを行なうことで心の距離も近づけ、対話をしながら力を尽くしたことが勝因となったと仙田は振り返る。

「譲渡側の企業は負債が重い一方で、譲渡する条件を厳しく設定されていました。一般的に見れば、企業価値を低く試算せざるを得ない状況なのですが、地元では有数の中堅企業。ある技術分野においてパイオニア的存在でもあったんです。オーナーの人間性も素晴らしかったですし、『絶対にこの企業のスピリットを後世に残したい』と強く思いました」(仙田)

仙田は、資料の作成・整備や会社案内を通じて企業そのものの魅力を伝えながら、粘り強く譲渡先を探した。その甲斐あって、最終的には財務面だけでは見えづらかった魅力を理解しつつ、相乗効果が狙える、理想的なM&Aへつなげることができたと話す。

「譲渡企業での最終説明会では、経緯を見守ってきた一人として社長がどういう思いで譲渡することになったのかを、全従業員の前でお話しさせていただいたりして、最後の最後まで重要な役割を担わせていただきました」(仙田)

数値化できる一般的な企業価値と、数値化できない“真の企業価値”とのギャップ。それを埋めるには、譲渡側のオーナーの想いを理解し、情熱をもって譲受側企業へ伝えることに尽きる、と山田は説明する。

「想いを話してもらう、そして聞いてもらうためには、当然ながら双方との信頼関係は不可欠です。歴史ある企業の縁を取り持つ重責をひしひしと感じながら、各社と密なコミュニケーションを図っています」(山田)

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人材の地産地消が、真の地域活性化につながる


ユナイテッド・フロント・パートナーズがミッションの一つに据えているのが、地方で不足しているM&A人材を育成し、サービスを根付かせていくこと。そのため、同社では未経験者の採用を積極的に進めている。

「会計の知識や法人営業の経験があれば理想的ですが、未経験者であっても『M&Aについて主体的に学びたい』『実力をつけて自分の仕事にしたい』など意欲が高い人は、ポテンシャル採用するケースも。その分、教育には力を入れています。

具体的には、事業継承・M&Aエキスパートなどの資格取得支援や研修制度を手厚くしています。ですが、最も能力が伸びやすいのはやはり実践。まずは事細かに案件を共有して間接体験を促し、できるだけ早い段階から現場で直接体験をしてもらっています。

育成には時間がかかりますが、人材の質を担保しなければ仲介業務が成り立たないので、根気良く取り組んでいます」(山田)

加えて同社では、各拠点の地元出身者も積極的に迎え入れているという。

「その土地で生まれ育った人間にとって、地元企業のために力を尽くせることは何よりのやりがいにつながります。私自身、出身地である大阪の会社が譲渡先だったりすると、いつにも増して業務に力が入るんですよね」(山田)

起業してからは、譲渡完了後に譲渡側、譲受側、双方の企業から感謝の手紙を受け取ることが多くなったと山田。社員一人ひとりの熱意が、オーナーに伝わっている証しであろう。


全国にサービスを定着させるため、上場を狙う


「できるだけ早いタイミングでの上場を目指しています」

今後の展望について問うと、こう即答した山田。全国に事業エリアを拡げ、首都圏と地方都市のM&Aにおける情報格差をなくすためにも上場を遂げ、会社としての信用力、採用力を高めたいと話す。

志高く日々邁進する山田にとって、大きな心の支えとなっているのが仙田だ。2022年6月現在、山田は静岡、仙田は宮城に軸足を置きつつ、密な連携を図っている。

「仙田と出会っていなければ、ユナイテッド・フロント・パートナーズはなかった。そう思えるぐらい、なくてはならない存在です。

一言で言うと、彼は変なプライドを持たない、素直で気持ちの良い人なんです。常に率直な意見や指摘、疑問を呈してくれるので、当社にとって最良の選択ができていると感じています。一人でやっていたら、こうはいかなかったでしょうね」(山田)

志を同じくするかけがえのないパートナーと共に、躍進を続ける山田。ユナイテッド・フロント・パートナーズの看板が各地にそびえ立つ、そんな日は決して遠くはないだろう。

文・福嶋聡美 写真・小田駿一

編集・大柏真佑実(Forbes JAPAN CAREER)

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