イグニション・ポイントのカルチャーの一つとして、多様な人材によるコラボレーションが挙げられます。今回はデザイン×コンサルティングによるコラボレーション事例をご紹介させていただきたいと思います。

 

イグニション・ポイント株式会社 テクノロジーユニット シニアマネージャー 黒部遼

京都大学経済学部卒業。日本M&Aセンター、アクセンチュアを経て現職。中央省庁、地方自治体、独立行政法人に対して、外国企業誘致やOut-in M&Aを軸とした対日直接投資の推進、ESG投資の推進、スタートアップ・エコシステムの形成促進等、産業政策の支援に豊富な経験を有する。また、中央省庁のデジタル・ガバメントの推進を複数支援しており、構想策定から実行支援まで携わっている。現職では、デジタル・トランスフォーメーション案件を推進。

 

イグニション・ポイント株式会社 エクスペリエンスデザインユニット アートディレクター 

猪野茉莉子

筑波大学大学院人間総合科学研究科芸術先専攻修了。専門分野はインフォグラフィックス。空間設計事務所で博物館、民間企業のショールームのスペースデザイン、グラフィックデザインに携わる。イグニション・ポイントではアートディレクターとして新しい体験価値を創るプロジェクトを推進するほか、ワークショップ等でグラフィックレコーディングを担当している。



―コラボレーションの事例について、聞かせてください。

 

黒部:テクノロジーとエクスペリエンスデザインの2つのユニットがコラボレーションし、DX戦略策定やBPRのプロジェクトにデザインの要素を導入した支援を行なっています。

具体的にはデザイン思考によるワークショップ、情報をその場で可視化するグラフィックレコーディング、またインフォグラフィックスを用いたロードマップ策定によりDX定着化を図っています。

 

デザイン思考によるワークショップ

 

黒部:DXは全社ごとであり、社員一人一人の変革や当事者意識が求められます。したがって、社員の方々をいかに巻き込むか、やるべきことをいかにわかりやすく伝え共通理解化するかということが重要だと考えています。

一方で従来のDX支援ではトップダウン的なアプローチが多く、社員の巻き込みや共通理解化が不十分であるため、結果としてDXが社員や組織に浸透せず、定着しないといったことも多いのではないかと思います。

デザイン思考によるワークショップでは、社員の方々に本音ベースでの意見・アイディアを出してもらい、その場で情報を可視化・整理しながら、課題やニーズの本質への理解を深めていきます。



情報をその場で可視化するグラフィックレコーディング

 

黒部:ワークショップでは猪野さんにグラフィックレコーディングをお願いしています。

 

猪野:はい。ワークショップに参加し、その場で出てきた意見やアイディアをリアルタイムでイラストやデザインでまとめていきます。通常の議事録と比べても視覚的に分かりやすく、DXの全社的な共通理解化にあたっては有効な手法ではないかと思っています。



―コンサルティングの支援の中でグラレコが活用されるのはなかなかないですよね。デザインのみならず、ビジネスの知見も必要とされるチャレンジングな取り組みではないでしょうか。

 

猪野:そうですね。私自身、前職までのキャリアでは、学術論文等をはじめとした専門的なコンテンツをイラストとデザインを用いて図解することは慣れていました。有形なものを「もっとわかりやすくする」ような、翻訳に近い仕事でした。

ですが今取り組んでいるのは、全くの無形なものを図解する仕事なので、これまで経験してきたこととは質が異なりました。

キャッチアップは大変ですが、黒部さんが都度ミーティングを設定してくださり、一つずつ用語を丁寧にご説明してくださるおかげで形にすることができています。


  キックオフミーティング時のグラフィックレコーディング(例)

 

インフォグラフィックスを用いたロードマップ策定

 

黒部:最終的な業務の将来像やロードマップ策定にも、デザインの要素を入れ、パワーポイントでの成果物だけでなく、グラフィカルな成果物に仕上げ、社員全体に対するDX戦略の共通理解化を進めています。ここでも猪野さんの力をお借りしています。

 

猪野:ビジュアル性の高い成果物を納品することで、アウトプットの面では他社とは大きく差別化できると思っています。パワーポイントの資料だと、それを理解できる人の数も関係者等に限られると思いますが、そこにイラストやデザインが加わることで、共通言語が生まれ、より理解しやすいものになると思います。そうすると、関係者以外にも展開しやすくなり、結果として全社的なDXの共通理解が進むのではないかと思っています。



―コラボレーションはどんな経緯で生まれたのでしょうか?

 

猪野:workplace(社内のSNS)に私のイラストを投稿したところ、黒部さんからお声がけいただきました。コンサルティングのお仕事をイラストやデザインで可視化してみたいという思いがあったので、お話をいただいた時はすごく嬉しかったです。

 

黒部:テクノロジーユニットの支援のゴールは、”DXがクライアントの社員・組織へ浸透し、定着すること”であると考えています。DX戦略が絵に描いた餅にならず、全社的に定着するところまでを支援していくために、従来のコンサルティング手法のプラスアルファで何かできないか、デザインの力で活路を見出せないかと考えていたところでした。

弊社の場合、各ユニットとの距離が近く、やりたいことや悩みを相談しやすい環境にあります。イノベーションは掛け算で生まれるものなので、色んなユニットとコラボレーションしやすい環境であるのは弊社の良いところだと思います。

 

―今後取り組みたいことについて教えてください。

猪野:私の専門のインフォグラフィックスは絵にすべきコンテンツがないと成り立たない仕事なので、今後もコラボレーションをしてコンサルティングの案件における経験を積んでいきたいです。また個人的にはコンサルタントの皆さんに向けて”ビジュアル思考講座”を開催し、アイデアを可視化するためのノウハウを共有するのが今後の目標です!

 

黒部:コンサルティングファームは近年DXをクライアントに謳っている反面、コンサルティングファーム側の支援の進め方に大きなイノベーションが何十年も起こっていないのではないかと思います。

我々はイノベーションファームを標榜しているので、コンサルティング手法にもイノベーションを起こせるよなノウハウの構築を進めていきたいです。

例えば、動画やアニメーションを支援の中で活用するのも良いですし、メタバースのようなデジタル技術を取り入れた新たな手法も取り入れつつ、他ファームと一線を画していきたいです。そして、浸透・定着化するデジタル・トランスフォーメーションを突き詰めたいと思っています。