アサインの採用情報をみる

「どちらの企業にお勤めですか」

そんな質問に有名企業の名前を出した瞬間、周囲の反応が変わる。勤務先が「偏差値」で見られていると実感する瞬間だ。

だが、有名企業で働いていることと、本人の幸福度は必ずしも比例しない。人が羨むような企業で働き、活躍しているように見えたとしても「何か違う」と感じている人もいる。20~30代前半の若手こそ、理想と現実のギャップにもがき苦しむ傾向が強い。

世間の目にとらわれるのではなく、「自身の価値観」に沿ったキャリア選択が必要なのではないか。

その考えのもとに誕生したのが、株式会社アサインだ。同社は転職エージェントでありながら、転職を前提としない「キャリア支援」に注力する。複数回の面談を重ねて価値観を紐解き、本人の意向から得るべきスキルや経験をキャリア戦略に落とし込んだ上で、必要がある人にだけ最適な企業を紹介するのだ。

なぜ、特異なスタイルの支援を行なうのか。創業メンバーでエージェント事業部の責任者、安達飛希(あんだち とき)に聞いた。

20代、一貫性のないキャリアが出来上がるまで


「ある求職者のデータを見てみたところ、業界も業種も関係なく60社もの大企業を受けていたんです」

アサインへの参画前は、大手転職エージェントで法人営業を担当していた安達。求職者のキャリア選択に対して、大きな疑問を抱いた出来事を回想する。

「担当のキャリアアドバイザーに『この求職者は、なぜ転職したいの?』と聞いたところ、『現職での仕事に飽きてしまった。有名企業に在籍しているから、次も同じぐらいの知名度の企業に行きたいらしい』と言われて、果たしてそれでいいのだろうかと」

似たようなことが日本中の至るところで起きている。意思決定の基準が曖昧であればあるほど「聞いたことのある企業名」に惹かれ、応募をしてしまう。運良く入社できたとしても、ミスマッチに苦しんで同じように転職を繰り返せば、一貫性のないキャリアが出来上がる。

安達は、今の転職市場には3つの課題があると指摘する。

「まずは『情報の非対称性』。求職者は職種の仕事内容や想定年収などは調べられても、キャリア構築の具体的なロードマップや転職市場の動向といった本当に知るべき情報が手に入らない。

次に『学歴・社歴の偏重』。大学名や企業名で、ビジネスパーソンとしての価値を定義されることも多い。その結果、求職者自身も適性や価値観ではなく企業名で就職先を選んでしまい、自身の強みを活かしきれずに働いてしまうパターンは少なくありません。

最後に『若手軽視』。求職者が紹介企業に入社をすれば、理論年収に応じてフィーが支払われることから、高い年収が見込めない20代にはフォローが手薄になる傾向があります。キャリアの方向性を決める上で、20代は非常に重要であるにもかかわらず、です」

若きビジネスパーソンが本当に自分らしいキャリアを形成していくためには数多の壁が立ちはだかる。だからこそ、キャリアに向き合う時間が必要だ。

就労期間がより長期化する「人生100年時代」の到来、そして終身雇用の崩壊。これらが自律的なキャリア形成の必要性を高めている。

だが元々、誰一人同じ答えがない分野であることに加え、予測困難な社会経済環境によってキャリア形成の難易度は高まるばかりだ。

そんな中、同社は自身のキャリアに真剣に向き合い、前向きに変えていこうとする20代~30代のビジネスパーソンを「若手ハイエンド層」と定義。単純なスキルマッチでの転職支援ではなく、価値観を重視した新たなスタンスの転職エージェントを展開した。


心の奥底に眠る、本当の自分を呼び覚ます


転職市場にはびこる課題を解決するために、アサインは、人とテクノロジーの力を組み合わせた2つの事業を展開する。

求職者の“価値観”を軸とした支援を行なうエージェント事業。そして経歴と価値観を登録すると、AIがオススメのキャリアを提案してくれるアプリ「VIEW」。

これらの根底に共通するのは、求職者の価値観に合ったキャリア戦略構築への思いだ。エージェント事業について、もう少し詳しく話そう。

一般的なキャリア面談は、求職者の経験やスキルを中心としたものが多い。しかしアサインは、幼少期や学生時代、プライベートも含めた理想のライフスタイルにまで言及。1回1時間、4~5回の面談を重ねて価値観を紐解いていく。

また、同社では転職者の出身業界や業務内容、目指すキャリアへの理解が深いことが、エージェントの大切な資質と考えており、外資系コンサルファームや大手証券会社、広告代理店出身者など多様なバックグラウンドの人材が集まっている。実務経験を持ち、業界や職種のリアルを知るからこそ、本当に価値のあるキャリアプランが生まれる。

アサインはなぜ「価値観」にこだわるのか。

「私たちは、自分が『好き』で、かつ『得意なこと』が価値観に詰まっていると考えています。徹底的な自己理解の上で、価値観を活かすことが良いキャリアに繋がると信じているんです。

特に20代は社会人経験が浅いですよね。仕事をしていない期間の方が長いので、幼少期や学生時代の経験にも、求職者の価値観を解くヒントがあると考えています」

ヒアリングを通して導き出した価値観をもとに、5年、10年先の中長期的なキャリア戦略を設計。転職をすべきでないと感じた場合には、「今はするべきではない」と率直に伝える。

「20代の方ですと、今の会社でのキャリアアップ方法が見えていないケースがあります。でもまずは現職で実績を出し、その理由を言語化する。さらにナレッジ化して再現性を高めていくことで、キャリアの選択肢を圧倒的に増やしていけるんですよね」

大切なのは、求職者自身がワクワクするかどうか。当初は将来に漠然とした不安を抱えていた求職者も、アサインの支援を受けることで徐々に自分らしさを取り戻していく。安達は、印象的だったある求職者の話を語り出した。

「その営業職の方は、成長を感じられず、仕事にやりがいを感じられずにいました」

成長を感じられない原因は何か。度重なる面談を通して、安達は求職者の価値観を探り続けた。すると、「工夫を重ねた提案をした際に、君のおかげで困っていたことが解消できた、と言われた瞬間が嬉しかった」という言葉がこぼれた。

しかし、在籍中の企業は、自社が持つ単一商材の見込み顧客をいかに探すかが営業活動の中心にあり、提案力よりも手数の多さが求められる環境であった。

「在籍企業の事業性質が合っていないのかもしれない。それを指摘した瞬間、ハッとしたような表情をされていましたね。顧客にとって本当に必要なソリューションを考え、提案する営業がしたいと気づいたそうです」

この求職者の場合は、転職が最適な選択肢だった。

自身の裁量で工夫ができる土壌のある成長フェーズの企業であること、そして提案の幅が広い複数商材を有する企業であること。この2つを転職活動の指針として定め、内定を獲得。

入社後はMVPにも輝き、今はさらに営業成績を伸ばすための努力に明け暮れる日々を送っているそうだ。

「『目標の150%達成を目指します』『またMVPを狙います』などと報告をいただけて、エージェント冥利に尽きますね。自分の価値観に合った仕事に就けば、成果が出せて面白くなり、さらに夢中になって自発的に動き続けるんです」

好循環がもたらされるのは、求職者だけではない。価値観をベースにしたキャリア支援は企業側との信頼構築にもつながっている。

「企業と求職者が大切にしたいことが合致しているので、入社後の活躍が目覚ましいと言っていただけます。自分は入社後に何をするべきか、どのようなキャリアを歩みたいのかが明確なので、目の前の仕事にも本気で取り組める。だからこそ活躍できるんです」


世間体や他人との比較ではなく、あなたの価値観で歩むキャリアを


2016年の創業から5年。現在ではキャリア相談の数は年間1万人以上と着実に実績を伸ばしてきたアサイン。内定率は、大手エージェント会社と比較して6~7倍だという。

これまではコンサルティングファームや事業会社の営業職へのキャリアチェンジを目指す人たちへのキャリア支援が多かった。今後は多くの職種で「価値観」を主軸としたキャリア形成が実現できるように支援領域をさらに広げていく。

「私たちは、自分が得意であり、好きなことを起点としたキャリア選択を社会のスタンダードにしていきたいと考えています。一人ひとりが、自分の仕事に誇りを持ち、自慢できるような世の中を作っていきたい。

優劣や就職偏差値ではなく、お互いの価値観を認め合えれば、仕事に誇りを持てる人が増えていきます。働くことに対するイメージをポジティブにできれば、企業、ひいては社会全体が活気付いていくはずです」

長い時間をかけて世間に根を張ってしまった学歴・社歴偏重の風潮は、生半可な気持ちでは覆せない。在籍企業の知名度と、ビジネスパーソンとしての価値がイコールで語られてしまう限り、世間体を気にしたキャリア形成はなくならないだろう。

それでもアサインは、若手ハイエンド層の幸せなキャリアを願い、キャリア形成に立ちはだかる壁に挑み続けるのだ。

文・藤原梨香 写真・小田駿一

アサインの採用情報をみる


【編集後記】

驚いたことがある。

取材前の入念なすり合わせ、想定質問に対する回答準備はもちろん、
さらにはリハーサルまで行なったと言う彼ら。

本業であるキャリア支援にも、真摯に向き合っていることを私は確信した。
だがなぜここまで本気になれるのだろうか。

別日、取材の終わり際に安達氏は言った。

「私たちの支援した人たちが将来マネジメント層になったとき、
若手から目標とされる人になること。

自分の仕事に心から自信をもって働く大人を見て、
子どもたちもいつか働くことが楽しみになること。

そんな世の中になればなと思っているんです」

なるほど。彼らのひたむきな姿勢は、その視座の高さゆえだったのか。
私は静かに納得したのだった。

編集・梅田佳苗(Forbes JAPAN CAREER)